しかしそれより先に、

久しぶりにモチベーションが上がってきたので小説用のフォルダを開いてみたら呪われたテキストが発掘されたのでなんとなくここに。
グロとか精神的に嫌な話とか嫌いな人は見ないほうがいいかもしれません。
というか正味趣味の一品なのであまり面白くありません。
呪われています。
これを見た人はネットの五箇所にこのテキストを書きこ(ry

































……………………いや、多分思いなおしたほうがいいと思いますが。



































































『指切り』



 貴方はずっと私の子供と母は言う。ずっとずっと子供でいてねと、小さいままの貴方でいてねと、そんな母に私は頷く。
 ここまではそう、珍しいことでもなかった。
 でもここからは、珍しいことだったのかもしれない。



 ずっと小さいはずは無く、子供だった私は、少しずつ大きくなった。穏やかだった母は苛立ち始め、ある日、言う。ずっと小さいままだと言ったのに。なんで貴方は大きくなるの。ごめんなさい母。謝る私を母は許して、指切りしようと呟いた。とんととたたたん、てんととたたん。その日私の両手から、指先が全て消えた。数えてみると残っている関節は九つしかなかった。
 大きくなるたび、私は小さくなっていく。指が無くなった手のひら、分厚いしゃもじのようだった。手首がストンと落ちて、母はそれを生ゴミの日に出した。
 足の指も、ひとつひとつ丁寧に。かたぁい樫の小さな木靴、足より小さなその靴に、ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう詰め込んだ。
 それでも育つ私の体に、母親はおかしくて、一抱え程の箱を抱えて、笑いながら、私をそれに詰めていった。
 切り取られたほうが楽だったかもと私は思い、けれども、よくよく思い出してみると指だってとても痛かった。



 何年も箱の中で、私がはみ出るたびに母親は食べ物をくれなくなった。おなかは減るので、仕方が無いから隙間を詰めた。箱の角に、指と指の間に、肩をすくめて出来る鎖骨のくぼみに、おしあいへしあい詰め込んで、ようやく母はごはんをくれた。
 そのうち私は匂い始めて、母はまた怒ってしまう。鼻をつまんで私を睨み、消毒代わりとお酒をかけた。アルコールの匂いは、潰れた鼻では嗅げなかった。
 箱に蓋をして母が帰ってこなくなり、私は泥のように眠り、時間が速度を無くしていく。分厚い二枚のカーテン越しに、晴れの日だけは太陽の影が蓋の隙間を潜り抜けた。。
 時計が電池を無くした頃、随分ひさしぶりのお客がやってくる。母ではないようで、モノに当り散らさなければ私の箱を蹴ることも無かった。
 がやがやがやがやと、嫌な感情がこもった雑談の中、箱の蓋がずらされる。鍵はかかっていなかった。
 なんて言おうか、そう思って、でも気付けば喉は気管は肺は周りから押されあううち溶けて塞がってしまっていて、しょうがなく、困ったように笑うのだ。
 小さいままでいますから。
 だからもう許してください。
 ごめんなさい。