暇つぶし

大人になれば、消えてしまう子供の全能感。
きっとカミサマも同じだったのだ。光に大地に獣、星はおろか人すら作ってカミサマは眠りに落ちた。それは疑う余地もないほど幸福な眠りで、これまでの達成とこれからの期待に溢れていたはずだ。
――けれど。
開いた目に映る世界は、どうしようもなく完成して、人が何かを成す度に隙間すら埋められていく。
星一つ作ることも出来ず、雨すら雲の赴くままに。人のいさかいを止める手すらもたず、神の絶望はどれほどのものか。
何かを作るたびに一つ、一つ、全能の箱から玩具が消え、知らないことを知っていく。
それでも作らずにはいられなくて。
神は死んだと誰かが言った。
死んでなんかいない。この世界から、消えてすらいない。
ただ、この世界がカミサマから消えただけだった。
届かないものを見つめるカミサマと、失った全能を思い出す私たち。違うものだと、どうして、そんなことが言えるだろう――