ここもよくめんどくさいんであーとか入れてたり。



私には十が欠けている。
それは人として必要な事柄で、けれど私はその内にそれを求めることが出来ず、人に望もうとするのだろう。血肉のようにありふれた、なくならないものでありながら、血肉のように消えていくものだ。ならきっと私は食らうのだろう。
それは間だ。これから行く道程だ。けれど私はそれを持たないのだろう。足元から消えているそれに、代わりの他人を敷き詰めて、私はそれを踏むのだろう。靴底にある悲鳴が、粘りつくと知りもせずに。
それは舌にも似ている。匂いのように口から食み出す肉だ。歯を合わせれば千切れるだろう。外を歩けば乾き、潤す術を私は知らない。そこから奪われる感触を何に例えていいのだろうか。
左足の無いことは誰が気付いている。三寸ほど短かなこの歩みは、かたかたと揺れおもちゃのようだ。何を接いでもしっくりこない。切り口を覆う肌の醜さは、靴の中で隠れている。
言葉は耳に届かない。音の無い世界に、心臓すら危うくなる。聞こえないのなら愛の歌も蝉の声だ。呼びかけが手触りのようなら、いっそここに刻んではどうだろう。
色の無いのなら、世界は混ぜた絵の具のようだ。筆はどこにあるのだろうか。思い出すことも無く、今垂れた一滴すら何の色かもわからない。
食事が喉元に渦を巻く。酸に混じれば味もわからず、匂いはまるで腸のよう。口を閉じれば羊水のように、脳を満たして腐らすだろう。


飽きた。